はじめに
今年度のノーベル文学賞を受賞した、カズオ・イシグロさんの「忘れられた巨人」を読みました。
ノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロの近著が待望の文庫化!
たまたま電車で読む本がなかったので、軽い気持ちで買いました。
本日はそのレビューを記載したいと思います。
ネタバレする内容はページの最下部にあるので、読みたくない方は中段で引き返してください笑。
あらすじ
『忘れられた巨人』(わすれられたきょじん、英語: The Buried Giant)は、日本生まれのイギリス人作家カズオ・イシグロが、『わたしを離さないで』(2005年)から10年ぶりに書いた長編小説。2015年3月にイギリス・アメリカで同時出版された。侵入するサクソン人(アングロ・サクソン人)に対抗したという伝説のアーサー王が亡くなってしばらく経った、現在イングランドと呼ぶ地域を時代背景に、ブリトン人の老夫婦が息子を訪ねて旅をする話。
概要は上記の通りですが、主要な登場人物はもう少しいます。
- 老夫婦
- サクソン人の戦士
- サクソン人の少年
- アーサー王の騎士(ガウェイン)
重要なこととして、登場人物は軒並み過去の記憶が薄いです。
あれ、こんなことなかったっけ?みたいな感じです。
ただ、キャラクターによって程度の差はあります。
また、ファンタジーテイストでもあり、「悪魔」や「竜」といった生物が出てきます。
(後述しますが、何かの隠語の可能性があります。)
読んでみた感想
老夫婦は、自分たちに過去の記憶があまりないことについて、「霧がかかっている」という表現をするのですが、読んでいるこちらもそんな感じです。
モヤモヤします。
中盤から終盤にかけてはのめりこんで読めましたが、序盤は辛かったです笑。
推理小説やミステリー小説のような爽快感が欲しい方にはあまりオススメはできません。
穏やかな感覚で読めるので、雨の日に家で読むのにはちょうど良いのではないでしょうか?
こうやって文章に書いてみると、あそこどうだったっけ、みたいな感じがしてまた読みたくはなります。
ただ、2回目読んでも良く分からないんでしょうね笑
奥が深い本だと思います。
ネタバレありな感想
ここから先はネタバレありになります。
私の考えは下記になります。
(間違っていたらご指摘いただけると!)
- 過去の不都合な記憶がない方が人間、うまいことやっていける。
- ただ、人間の知的欲求は満たせないので、結局知ろうとしてしまう。
- 結果、後悔や争いが起こる。
本の中では明確な回答がないので、読書メーターさんにある感想なども見て見ましたが、違いはあれど、同じような感じでしょうか。
未だに良く分からなかったことは、
- 中盤、及び最後に出てくる「船頭」の役割(夫婦を引き離す?)
- 「鬼」や「異形の犬」のような表現(ファンタジー世界だからなのか、何かの隠語なのか)
- サクソンの少年(エドウィン)がつけられた「竜の傷」
最後に夫婦がどうなるかということも勿論気になります(死別?)。