はじめに
MIT,GNU_GPL,BSD,Apacheなど、オープンソースソフトウェアには大抵何かしらのライセンスがついていますが、それらと並んでクリエイティブ・コモンズ(以下CC)というライセンスもあり、今回は後者についての話です。
ネット上で何かしらフリー素材を探したことがある方なら、見かけたことがあるかもしれません。
クリエイティブ・コモンズとは
上述のMITやGNU_GPLといったライセンスはあくまでソフトウェア用で、CCは絵・文章・音楽・動画などあらゆるコンテンツに適用されることを想定しています。
「作者名を明記する」、「改変を許可する/しない」、「商用利用を許可する/しない」といった条件の組み合わせが用意されており、作者が望む内容のライセンスを選んで適用することができます。
条件はそれこそ無数に考えつきますが、CCではごく限られた4つの条件から成り立っており、組み合わせは6種類に絞られています。具体的な内容は次項で説明します。
種類
前述の通り、全部で6種類です。6種類になった経緯は分かりませんが、あまり細かすぎても法律の専門家以外には伝わりづらく、また選びにくくなってしまう可能性を考慮したのかな、と思っています。
各ライセンスにある「コモンズ証」「リーガルコード」については次項で説明します。
表示(CC BY)
CCの中で一番ゆるいライセンスです。原作者のクレジット(作者名、作品名)を表示すれば、改変・商用利用・再配布なども許可されます。
表示—継承(CC BY-SA)
「継承」がどういう意味なのか、少し分かりづらいですね。クレジット表示に加えて、内容を改変した場合は同じライセンス(CC BY-SA)で公開することが条件となります。
表示—改変禁止(CC BY-ND)
これはそのままなので分かりやすいですね。クレジットを表示し、かつ内容を改変しないことを条件として、商用利用や再配布が可能です。
表示—非営利(CC BY-NC)
これもタイトルのままです。クレジットを表示しつつ商用利用をしなければ、改変や再配布が可能です。
表示—非営利—継承(CC BY-NC-SA)
条件が3つになりました。クレジット表示・非営利目的での利用・改変した場合は同ライセンスでの公開が要求されます。
表示—非営利—改変禁止(CC BY-NC-ND)
こちらも条件が3つです。要求されるのはクレジット表示・非営利目的での利用・内容改変の禁止
「表示(CC BY)」は全種類のライセンスで適用されるので、実質的には「表示」条件に他3つの条件をどう組み合わせるかになりますね。
階層構造
CCライセンスは3層構造を持っています。
コモンズ証
法律用語を知らない人でも分かりやすく内容を把握できるように、平易な言葉でライセンス内容を説明する文章です。
表示(CC BY)のコモンズ証
リーガルコード
ライセンス原文という別名もあります。厳密なライセンス内容を記載したもので、法律の専門家が対象ですね。
表示(CC BY)のリーガルコード
前述のコモンズ証と見比べれば、一見して分かるほどに違います。これは確かに読みづらい…。
メタデータ
コモンズ証が一般の人向け、リーガルコードが専門家向け、メタデータは機械向けです。HTMLのmeta要素のように、決まった書式のタグを貼り付けることで、Googleなどのクローラに分かりやすくするためのものです。コードは公式がジェネレータを用意していますので、使いたいライセンスを選択すれば自動でタグを生成してくれます。
以下のコードは
表示(CC BY)
のメタコードです。(実際には改行は入りません)
1 2 3 4 5 | <a rel="license" href="http://creativecommons.org/licenses/by/4.0/"> <img alt="クリエイティブ・コモンズ・ライセンス" style="border-width:0" src="https://i.creativecommons.org/l/by/4.0/88x31.png" /> </a> <br /> この 作品 は <a rel="license" href="http://creativecommons.org/licenses/by/4.0/">クリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 国際 ライセンス</a>の下に提供されています。 |
昔(2010年頃?)はもっと厳密にrdf形式(xmlと似たようなマークアップ)でのメタコード表記が使用されていたようですが、現在では上記のようにaタグのrel要素に埋め込むだけの簡潔なコードになっているようです。
コンテンツ投稿型サービスでのクリエイティブ・コモンズ
YoutubeやFlickrなど、ユーザーがコンテンツを投稿するタイプのサービスでは、コンテンツにライセンスを適用するかどうかを選べるようです。私はそういったサービスは閲覧しかしていなかったので、今回初めて知りました。
例えばYoutubeだと、検索画面のフィルタ項目で選択して絞り込み検索ができるんですね。意識していないと全く気づかないものです。
動画再生画面にも表示があります。説明文のところの「もっと見る」で全文表示すると、CCライセンスが設定されている動画は↓のように表示されています。
おまけ:OSSライセンスについて
OSSライセンスについてはとても分かりやすいまとめがありました。使いたいライブラリやフレームワークのライセンス内容を把握したり、あるいは自分のコードを公開する時のライセンス選びの参考にしたりできそうです。
さいごに
この記事内で使用している画像もCCライセンス(CC BY 4.0)の元に、クリエイティブ・コモンズ・ジャパンが公開しているものを使用しています。