iOS

UnityのiOSネイティブをSwiftで書く

投稿日:2018年9月19日 更新日:

はじめに

初めまして。カイザーです。
今回から、月一で寄稿させて頂くことになりました。
日頃の開発で詰まったところなど、記事を通してナレッジをシェアしていきたいと思います!
よろしくお願いします!!

UnityのiOSネイティブとは?

Unityはクラスプラットフォームのゲームエンジンなので、1つのプロジェクトで、同じゲーム等を様々なOSや端末で動作させることができます。
ですが、中にはOSに依存する機能が必要な場合があります。例えば、下記のようなものが挙げられます。

  • 課金
  • SNSシェア
  • WebView
  • マップ表示(MapKit等)

これらを実現するには「ネイティブ実装」を行うことが必要ですが、Unity本体やAssetStoreで入手できるプラグインによって実現できるものもあります。
ですが、実現したい内容によっては自分で実装しなければならない場合もあります。
そこで、今回はSwiftを使って、iOSのMapKitをUnityから呼び出してみたいと思います。

今回作るもの


このようなUnityのシーンにApple標準(MapKit)のマップを表示するサンプルアプリを題材に説明します。
なお、表示の際には、マップの表示位置・サイズと、ピン情報を指定できるものとします。

必要な構成

UnityのiOSネイティブはCで呼ばれるため、その部分はObjectiveC++で開発し、そこからさらにSwiftを呼ぶ形となります。
どのように呼び出されるのか図にまとめました。

この構造のため、SwiftはNSObjectを継承する必要があり、完全にSwiftで記述することはできないという欠点はあるものの、Optionalやstructなど、Swiftの恩恵は受けることができます。

unity-swiftの導入

Unityで書き出されるiOSプロジェクトは、Objective-Cベースなので、それにSwiftを共存させる設定が追加で必要になります。
しかし、Unityから出力されるプロジェクトにはそのような設定はされておらず、特にBuild SettingsのRuntime Search PathsはUnityからのビルド時に毎度設定する必要があります。

そこで、下記のAssetを使用することにより、それらの設定を自動化することができます。

https://github.com/miyabi/unity-swift

今回は、こちらのAssetを使用していきます。

「Clone or Download」からダウンロードし、unity-swift.unitypackageを開き、プロジェクトに追加しておきます。

必要な機能の実装

ここからは、実際に必要な機能をプログラミングしていきます。

Swiftクラスの作成

Swiftクラスは、Assets内であればどこに作成しても構いません。
呼び出されると、指定された情報でMKMapViewを生成し、addSubViewするメソッドを作成しました。

メソッドを作成する際、@objcをつけておかないと、Objective-C++から呼び出せませんので、注意してください。

また、JSONパースにCodableを使用していますので、structでモデルを作成します。

Codableについては、下記の過去記事に詳しく書いてありますので、興味のある方は読んでみてください。

https://re-engines.com/2018/09/13/2650/

Objective-C++でUnityからの呼び出しをSwiftに受け流す

先述の通り、Unityから直にSwiftを呼び出すことはできず、Objective-C++(.mmファイル)もしくはcppへの呼び出しになります。
Objective-C++が使用できれば、Swiftで書かれたメソッドを呼び出すこともできますので、今回はその方式で実装していきます。
なお、Objective-C++についてもどこに配置しても構いませんが、今回はSwiftファイルと同じ階層である「Assets/Scripts」に配置しました。

C#クラスの作成

最後に、C#クラスを作成していきます。これは、Unityでクラスを作成するいつも通りの方法で問題ありません。
先ほど作成したCの関数と同じインタフェースをC#で記述することで、C#から呼出可能になります。
それでは、C#でのインタフェース定義と、呼び出しを両方同時に見てみましょう。

最後に、ピンの情報を持つモデルを作成します。

UnityのJsonUtilityでは、配列がルートのJSONを取り扱うことができないため、ルートをJSONObjectにするためのPlaceListというモデルを作成しました。

シーンへの配置

「UnityMapKit.cs」をシーンに配置して、マップピンの情報を予めセットしてみました。

ビルドして実機で確認

これで完了です。ビルドするとシーンにマップが表示されます。

Swiftのバージョンでエラーになってしまうときは

Unityが出力するiOSプロジェクトでは、Swiftバージョンの指定がないため、エラーとなってしまいます。
その場合、出力されたプロジェクトを開き、Target「Unity-iPhone」> Build Settings > Swift Language Versionを「Swift 4.0」等に変更することで解消できます。

おまけ:SwiftからUnityを呼び出すには?

Swiftが呼び出された時、すぐ値を返却したいのであれば、Cの関数の返却をvoidではなく返り値を設定すれば良いのですが、後からUnityを呼び出したい場合は、下記の構文を使用することができます。

第一引数: 呼び出すGameObjectのname
第二引数: 呼び出すGameObjectにアタッチされているスクリプトのメソッド名
第三引数: 上記メソッドの第一引数に渡す情報(文字列のみ)

この場合、呼び出されるC#側のメソッドは下記になります。

第三引数が文字列固定のため、複数データを渡すときは、JSONでやり取りすることがオススメです。

さいごに

UnityからSwiftを呼び出すまで、複数の仕組みや言語を経由する必要があり、面倒ではありますが、ネイティブをObjective-CではなくSwiftで書けることはとてもありがたいです。

UnityのiOSネイティブを書く機会があれば、Swift一択ですね!

参考

blog-page_footer_336




blog-page_footer_336




-iOS
-, ,

執筆者:

免責事項

このブログは、記事上部に記載のある投稿日時点の一般的な情報を提供するものであり、投資等の勧誘・法的・税務上の助言を提供するものではありません。仮想通貨の投資・損益計算は複雑であり、個々の取引状況や法律の変更によって異なる可能性があります。ブログに記載された情報は参考程度のものであり、特定の状況に基づいた行動の決定には専門家の助言を求めることをお勧めします。当ブログの情報に基づいた行動に関連して生じた損失やリスクについて、筆者は責任を負いかねます。最新の法律や税務情報を確認し、必要に応じて専門家に相談することをお勧めします。


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


関連記事

UIWebViewからWKWebViewへの移行

1 はじめに2 ターゲットとなるUIWebViewで行なっていること3 URLへのアクセス4 ローカルHTMLの読み込み5 ページを戻す、進める6 ページの読み込み開始時や終了時に処理を行う(dele ...

iOS Chartsライブラリを使い移動平均線を描画してみる。

1 はじめに2 Chartsライブラリについて2.1 ライブラリの導入2.2 描画の準備3 折れ線グラフを描画する3.1 LineChartViewの設定3.2 LineChart用のデータ作成3.3 ...

Sign in with Appleの実装

1 はじめに2 Sign in with Appleとは2.1 iOS レビューガイドライン2.2 つまり3 準備4 実装5 デザイン6 さいごに7 おすすめ書籍 はじめに こんにちは、nukkyです ...

swift

[Swift]iPadのActionSheet表示でクラッシュする問題

1 はじめに2 エラー内容2.1 エラー原因2.2 まだこれで解決ではない3 さいごに はじめに こんにちは、nukkyです。 私は普段iPhoneアプリの開発を主に行っているのですが 慣れか油断かi ...

swift

[Swift4]UITextViewにプレースホルダをつける

1 はじめに1.1 前提条件2 実装3 さいごに はじめに こんにちは、nukkyです。 UITextFieldにはプレースホルダが標準で用意されていますが、UITextViewには用意されていません ...

フォロー

blog-page_side_responsive

2018年9月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  

アプリ情報

私たちは無料アプリもリリースしています、ぜひご覧ください。 下記のアイコンから無料でダウンロードできます。