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Rust入門してみた その3 Enum / match / Option編

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はじめに

前回に引き続き、Rustの入門編です。今回はEnumについて調べました。

Enum

Rustでは enum キーワードによってEnumを定義することが出来ます。

Enumの定義

まずは、簡単なEnumの例から見ていきます。

このように、取りうる値を列挙し、型として定義することが出来ます。
この他にも、Enumは値を関連付けて保持することも出来ます。

この例では、チャットメッセージのコンテンツの保持方法として、Enumを使用しました。対応するチャットメッセージのコンテンツとして、テキスト、画像、動画、削除済みの4種類をEnumで表現しています。
これらのコンテンツは、取りうる値が異なっています。

まず、テキストは Text(String) となっていて、単独のStringを関連付けて保持することが出来ます。
インスタンス化するには Content::Text("Hello".to_string()) のようにします。
複数個とることもでき、例えば Text(String, String, i32) のように宣言します。

画像と動画はそれぞれ Photo { url: String, caption: String } Video { url: String, length: i32 } となっていて、匿名構造体を持ちます。

削除済みのメッセージは、特に関連する値は無いため、単に Deleted となっています。

このように、1つのEnumの中に異なるデータ構造を持つことが出来るのがEnumの特徴です。

パターンマッチ

Enumのマッチングや、Enumの中の値を取り出す場合にはパターンマッチを行います。
先ほどのコードを少し変えて、Contentに応じて内容を出力するコードを書いてみます。

このように、match式を使うことで、Enumのパターンマッチングや、関連付けられた値の取り出しを行うことが出来ます。

ところで、String型の値を取り出す際に ref を使用していますが、refを外すとエラーになってしまいます。
これは、String型にはCopyトレイトが実装されていないため、match式内で所有権を奪ってしまうためです。ちなみに、 Content::Video のlengthはi32であり、こちらはCopyトレイとが実装されているため、所有権のムーブが発生しないためエラーにはなりません。
そのため、refを使うことで値を借用しています。

もちろん、 match &x.content のようにして、はじめから借用することも考えられますが、refを使うことでenumごと借用するのではなく、中の値単位で必要なもののみ借用することが出来ます。

Enumへのメソッド実装

Enumに対してもimplキーワードでメソッドを実装することが出来ます。

構造体へのメソッド実装と似ていますね。

よく使う標準Enum

Option

ところで、RustにはNull値はありませんが、Optionを使うことで、同じ概念を実現することが出来ます。
Optionは、実際には次のようなEnumです。

ちなみに、 <T> はジェネリクスです。
実際には次のように使用します。

値がある場合にはSome、そうでなければNoneを使用します。
Someを使用した場合には、型推論が働くため型定義が不要ですが、Noneの場合には値を渡さないため、型定義が必要です。
仮にSomeで値が渡ってきたとしても、型としては Option<&str> なので、必ずパターンマッチして Someであることを確認しなければ、中の値を取り出すことは出来ません。
これによって、Nullと同じ仕組みを実現しています。

Result

以前の記事でResultについて紹介しました。そこにも出てきましたが、ResultもEnumです。

 

match式でのパターンマッチを行うことで、値を取り出すことができます。

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